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更新日:2025年12月2日
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県議会12月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。
東京2025デフリンピックには、本県から5名の選手が出場し、世界最高峰の舞台で、持てる力を思う存分発揮してくれました。選手の皆様の凛とした姿や気迫あふれる戦いぶりは、県民の皆様に大きな勇気と感動を届けてくれたものと考えております。
なかでも、ともに初出場でバスケットボール競技に出場した鶴岡市出身の小鷹実春選手が金メダル、サッカー競技に出場した酒田市出身の齋藤心温選手が銀メダルを獲得し、さらに水泳競技に出場した酒田市出身の齋藤京香選手が前回大会でのメダル獲得に続き、女子4×100mメドレーリレーで銅メダルを獲得されたことは、まさに快挙であり、心よりお祝い申し上げます。
世界の檜舞台で、積極果敢に挑むチャレンジ精神を、身をもって示してくれた選手の皆様に心から敬意を表しますとともに、今後のさらなる御活躍を期待しております。
戦後80年の節目にあたり、11月12日に沖縄県糸満市にあります「山形の塔」の慰霊祭を挙行いたしました。
祖国の安寧を願い、故郷の家族を案じつつも、苛烈な戦いに身を投じ、かけがえのない命を失った方々を、御遺族の皆様とともに慰霊してまいりました。
慰霊祭には九里学園高等学校の生徒約60名からも参列いただき、将来を担う若い世代の方々とともに、戦争の記憶を風化させず、平和の尊さを次の世代にしっかりと伝えていきたいとの思いを新たにしたところであります。
次に、経済の動向及び当面の県政課題について、御説明申し上げます。
我が国の経済につきましては、米国の通商政策による影響が自動車産業を中心にみられますが、緩やかに回復しております。
本県の状況についてみますと、個人消費につきましては、食料品をはじめとする物価高を背景とした節約志向がみられますが、底堅い動きとなっております。鉱工業生産は、電子部品・デバイス工業などで堅調な動きがみられ、緩やかに持ち直しております。雇用は、あらゆる分野で人手不足が続いており、有効求人倍率は高い水準で推移しております。
このように、本県経済につきましては、緩やかに持ち直しておりますが、弱含みの動きが続いているところです。
今後の先行きにつきましては、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクや、国内における物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響などが懸念されることから、引き続き国内外の情勢や県民生活・企業活動への影響について注視してまいります。
県内における今年のクマの目撃件数は約2,700件で、人身被害の発生件数も13件となるなど、記録が残る昭和52年以降で最多となっており、まさに「災害」とも言える異常事態となっております。
被害に遭われた方々には、心からお見舞い申し上げます。
これまで県では、当初予算による対応に加え、9月補正予算においても、緊急的な河川の藪の刈払いや、人の日常生活圏に出没したクマの緊急銃猟を行うための資材購入等を実施する市町村への支援を追加するなど、危機感を持って速やかな対策を講じてきたところです。しかしながら、例年出没が落ち着く11月になってもクマの出没が相次ぐというこれまでにない状況が続いていることを踏まえ、政府の「クマ被害対策パッケージ」の公表に呼応して、11月17日に、県として総合的なクマ対策に取り組むための「山形県版クマ被害対策パッケージ」をとりまとめたところであります。
そのうえで、直面する人身被害の発生防止に向け、県版パッケージに盛り込んだ対策のうち、早急に実施する必要があるものについては、同日付けで補正予算の専決処分を行い、「山形県クマ被害防止緊急対策」として迅速に実行に移すこととしたところであります。
緊急対策では、河川の藪の刈払いの追加実施や、地域における柿の木などの不要果樹の伐採等への支援のほか、地域住民の安全確保として、学校や保育園等へのクマ対策の専門家の派遣、総合支庁による見回りの強化、また、現場対応力の強化として、猟友会や市町村職員、警察職員の装備品の増強等を図ることとしたところであります。
こうした緊急対策に加え、県版パッケージにおきましては、クマの生息状況や被害の実態を把握するための新たなモニタリングや情報発信、春季捕獲の強化に取り組むこととしております。さらに、機動的・広域的に活動できる持続可能な被害防止体制の整備に取り組むなど、本県の実情に即した施策を盛り込んだところであります。
県としましては、県版パッケージに掲げる施策が実効性のあるものとなるよう、政府や市町村、関係機関と連携を図りながら内容の充実等に努めるとともに、引き続き、県民の安全・安心の確保に万全を期すため、強い危機感を持って総合的なクマ対策に取り組んでまいります。
昨年7月の大雨では、庄内・最上地域を中心に、これまでに本県が経験したことのない甚大な被害が発生しました。現在もなお、多くの方が仮住まいでの生活を余儀なくされており、県ではこれまで、一日も早い復旧・復興に向けて、市町村をはじめ、関係機関と連携しながら取組みを進めてまいりました。
公共土木施設につきましては、発災直後より、人家に近接している箇所や県民生活に及ぼす影響が大きい箇所など、緊急性の高い箇所を優先しながら、計画的な復旧工事の発注を進めており、10月末時点で工事の契約完了率は75%に達しております。
また、農地・農業用施設及び森林関係施設につきましても、政府の災害復旧事業の活用を中心に市町村が事業主体となり工事を進めており、10月末時点で工事の契約完了率は90%に達しております。
いずれも、目標である令和8年度末までの完了を目指し、関係機関と連携しながら着実に工事を進めてまいります。
こうしたインフラの復旧と併せまして、被災された方々のニーズを丁寧に把握しながら、住宅の確保やそれぞれの御事情に応じた相談支援などにも取り組んできたところであります。
引き続き、被災地の復旧・復興に向けて、一日も早く日常生活を取り戻すことができるよう、市町村や関係の皆様とともに、被災者お一人おひとりに寄り添いながら、全力で取り組んでまいります。
この度、世界的な有力メディアである「ナショナルジオグラフィック」が「2026年に行くべき世界の旅行先25選」として、日本から唯一、本県を選出しました。
東京から300kmほどの距離にもかかわらず、別世界のような静かさを体験できる場所であり、聖なる山々、静寂に包まれる神社仏閣、魅力的な温泉、四季を通じて各地で開催される伝統的な祭りなど、古くからの伝統と神秘的なアウトドア体験ができる点を評価いただいたと伺っております。
本県の魅力が国際的に認められたものであり、県民の皆様が、先人から受け継いできた雄大な自然や伝統文化の継承に日々御尽力されてきた賜物と考えております。
県としましては、この度の選出を契機に、本県の魅力を世界に向けて、官民一体で積極的にプロモーションするとともに、外国人旅行客に本県の旅をより一層満足していただけるよう、県内観光地の受入環境整備の取組みをさらに進めてまいります。
本県における主食用米の今年の予想収穫量は33万4千トンで、前年産に比べ4万4,200トン増加しております。これは、作付面積が前年産に比べ4,700ヘクタール増加したことに加え、本県の10アール当たり収量が32kg増の585kgであったことが主な要因となっております。
また、本県の一等米比率は、93.3%となっており、全国平均の76.8%と比べましても、非常に高い値となっているところです。品種別では、「つや姫」が97.4%、「雪若丸」が96.7%、「はえぬき」が91.9%となっており、検査数量1万トン以上の産地品種銘柄別では、本県の「つや姫」が全国3位となっております。
集荷業者と卸売業者の相対取引の米価につきましては、10月現在、「つや姫」、「雪若丸」、「はえぬき」のいずれも前年同月の価格から5割から6割程度上昇しております。また、「つや姫」は、玄米60kg当たりの税込価格で、過去最高の40,159円となり、「魚沼産コシヒカリ」に次いで、全国2位となっております。
今年は高温・少雨と栽培管理が難しい気象条件でありましたが、土づくりやきめ細かな水管理など、気候変動に負けない米づくりに取り組んできた結果、このような高い収量・品質につながったことは、生産者の皆様をはじめ、用水の確保に御尽力いただいた土地改良区など、多くの関係者の皆様の御努力の賜物と考えております。
今後とも、品質、食味、収量の三つが揃った「米どころ日本一」を目指して取り組んでまいります。
提案いたしました議案は、令和7年度山形県一般会計補正予算(第5号)など、44件であります。
今回の補正予算案につきましては、地域別最低賃金の大幅な引上げを受け、中小企業・小規模事業者に対して、緊急的な支援を行うほか、本県が直面する様々な課題への対応や、給与改定等に伴う人件費の補正などを行うものであります。
はじめに、本県の地域別最低賃金の大幅な引上げへの対応としまして、急激な賃上げに苦慮されている中小企業・小規模事業者の負担を軽減し、労働者の賃上げを後押しするため、支援金を支給するものであります。
次に、諸課題への対応としまして、今年の記録的な高温・少雨の状況を踏まえ発動した「山形県農林水産物等災害対策事業」による揚水ポンプや散水・潅水システム機器、遮光資材の購入等への支援を増額するほか、さくらんぼの結実確保に向けたミツバチ等の導入支援や、市町村が行う松くい虫被害木除去に対する追加支援に取り組むものであります。
人件費の補正につきましては、10月8日付けの山形県人事委員会勧告等に鑑み、職員の給料月額の改定等を行うとともに、議員及び知事等の特別職に対して支給する議員報酬等の改定等に伴う経費を追加するほか、職員の異動等を踏まえた補正額を計上するものであります。
この結果、今回の一般会計補正予算案の総額は、44億4,400万円となり、今年度の累計予算額は、6,893億9,400万円となります。
繰越明許費につきましては、年度内に支出の終わらない見込みのある経費について翌年度に繰り越して使用するため、総額で176億3,120万円余を計上するものであります。
債務負担行為の補正につきましては、工事の早期着工を図るため、いわゆるゼロ県債の設定など19件、95億8,300万円を計上いたします。
母子父子寡婦福祉資金特別会計など5特別会計及び流域下水道事業会計など5公営企業会計の補正予算案につきましては、人件費等を補正するものであります。
なお、物価高騰対策や、防災・減災、国土強靭化のための公共事業の追加などを盛り込んだ政府の補正予算に速やかに対応するため、必要な予算の調製作業を鋭意進めており、今会期中に追加提案してまいりたいと考えております。
山形県特別職の職員の給与等の支給に関する条例等の一部を改正する条例の設定につきましては、議会の議員及び知事等に対して支給する期末手当の支給割合を改定するとともに、議会の議員の議員報酬月額、知事等の給料月額及び行政委員会の委員の報酬額等を引き上げるためのもの、山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定につきましては、政党助成法の規定に基づく支部政党交付金使途等報告書等の写しの交付を受ける者から手数料を徴収する等のためのものであります。
令和7年度山形県一般会計補正予算(第4号)の専決処分の承認につきましては、急施を要したため専決処分をいたしましたので、その御承認をお願いするものであります。
山形県公害審査会委員の任命につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。
以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。
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